【小話】意外と歴史が浅い初詣

歴史小話

今年の初詣はどこに行こうか、と毎年、年末が近づくと考える。

新年をより良いものにするなら由緒ある神社や歴史のあるお寺にお参りするのが良さそうだし、人気のある社寺には古来より多くの人たちの信仰を集めてきただけに、それだけご利益がありそうにに思える。
 
氏神様にお参りするのが正しいとはいうが、昔からその土地にいる訳ではないし、せっかくだから参拝したことのない場所に行きたいと思うこともある。新たな年を迎えるのだから、初めてお参りする場所に行き、新鮮な気持ちになりたいと。

そんなことを考えると同時に、きちんとした所にきちんとした心持ちでお参りしないといけないという、一種の強迫観念に近い感覚もある。これは初詣が伝統ある日本の行事だと思っているからである。

古来より多くの日本人が新年に社寺に出かけ、神様にご挨拶してきた。だから初詣に出かけるのは日本人として当然のことであり、またそれを続けることは当然のことである。だから日本人として、新年は初詣に出かけ、相応しい行動をするものだ。それでこそ、一年がまとな年になるのだ。

と、いつになく真面目モードになっていることが人生を振り返ると、多々ある。

しかし、初詣は明治時代になってから習慣化されたものだと、先日『鉄道が変えた社寺参詣』を読んで知った。しかも参拝は名目に過ぎず、その実は行楽を楽しむものだった。

これまで伝統のあるものだと思っていたものが、それほど長い歴史がある訳ではないことを知って、可笑しくなってしまった。

神社で二礼二拍一礼する作法も明治時代になってから行われるようになったもので、それほど古い習慣ではない。

初詣も神社の作法も、あたかも古から行われてきた伝統のように捉えていたが、それは錯覚とも言える思い違いだと気づくと、衝撃と恐ろしさと可笑しさと、その他諸々の感情が去来する。

参考文献

平山昇『鉄道が変えた社寺参詣』交通新聞社新書(2012年)

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島田裕巳『神も仏も大好きな日本人』ちくま新書(2011年)

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