世界遺産で知られ、修学旅行生や外国人観光客が連日訪れる二条城は、徳川家の権力を象徴する書院造の二の丸御殿が見どころだ。
平安時代末期から台頭した武士が、貴族の寝殿造に代わって新たに造りだしたのが書院造で、その書院造が戦国期に発展し、江戸初期に権威を示す対面所として成熟した典型例が二条城である。
寝殿造との大きな違いは、襖や障子などの仕切りが発達し、屋内を細分化し各部屋の機能を明確にし、接客の場として畳を敷き詰めた座敷を生み出した点。
武士の住宅様式として生まれた書院造が、時代の流れにより日常的な住まいから接客空間としての広間となり、さらに儀式の場としての対面所になるという変遷が、ここ二条城の二の丸御殿からは窺える。
二の丸御殿は、書院造の建物の中でも対面所として特化しており、絢爛豪華な空間は徳川将軍の権威を表し、他大名との身分を明確にしている。
城としての防御機能よりも、政治的な機能を重視した建物といえよう。
そんな二条城には、もう一つ見どころがあった。残念ながら改修工事でおそらく今はなくなり、過去のものになってしまったと思われるが、2015年に訪れた時は城内に植えられている樹木の説明板があった。
非常時に備え植えられている樹木を紹介したもので、いかにも武士らしさが感じられるもので、以下のことが書かれていた。
クロマツ、アカマツ、タギョウショウ(多行松)
城内は松が一番多く、松明に利用
アラカシ、シイノキ、ウバメカシ
実を食糧に利用
クスノキ、イチョウ、ケヤキ、ムクノキ、エノキ
燃料に利用
ヒノキ
建築用
ナギ
葉を鎧の中に葉を入れて戦えば死なないと言われている
珍しい樹木としてニッキ、カヤの木
調べてみるとカヤの木は、碁盤・将棋盤に使われる最高級品の木材で、加工のしやすさや美しさから仏像などの彫刻にも用いられてきた木だった。また水に強く腐りにくいことから建築材や風呂桶、船舶などにも使われてきたとある。
ニッキは葉に効能があり、心の鎮静作用、リラックス効果、血流促進、冷え性改善、血糖値を下げる効果があるという。
改修が終わったらこれらの樹木を観れるのだろうか。HPを見る限りだと当時の木は一部無くなっている。もし観れるのであれば、二条城の魅力が増すのではないかと思う。
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