【滋賀県】源氏物語誕生の地 石山寺の見どころ

滋賀県

滋賀県大津市にある石山寺には見どころが多い。
石山寺駅は三井寺駅から20分の距離なので、三井寺とセットで参拝でき、大津周辺を旅する際は参拝するのがお勧めだと、この前に旅をして思った。

石山寺は西国三十三所の第13番札所で、三井寺は14番札所だが、古来より観音霊場として信仰を集めてきた。
石山寺は天平19年(747年)創建と伝わる歴史の長い寺院で、京都の清水寺と奈良の長谷寺と並ぶ、日本でも有数の観音霊場として知られている。

平安時代に貴族のあいだで観音信仰が広まり、京都に程よく近い石山寺には多くの貴族が参拝した。
特に女性の参拝が多く、『蜻蛉日記』や『更級日記』『枕草子』にも登場する。
平安時代の貴族の女性たちは、本堂の如意輪観音像の前で静かに座り、夜もすがら読経して過ごすのが石山詣の習わしだったという。

紫式部が7日間参籠して『源氏物語』の着想を得て、物語を執筆した場所としても知られており、大半の参詣者は源氏の間の前で足を止める。

この石山寺、予備知識がなくただ境内を歩くだけでも楽しいが、事前に調べてから行くともっと楽しめる。
参拝して個人的に感じた見どころは三つ。

一つは天然記念物の珪灰石(けいかいせき)。
これほどの広範囲に渡り形成しているのは珍しく、これが古来より石山寺と呼ばれてきた、石山寺を特徴づける石である。

珪灰石は石灰岩が地中から突き出した花崗岩とぶつかり、その熱作用のために変質したもので、
また普通は石灰岩と花崗岩がぶつかると大理石になるため珪灰石は珍しいと言われている。
(珪灰石自体は珍しいものではないという意見もある)

もう一つは岩山の上に建つ多宝塔
建久5年(1194年)に源頼朝が建立した現存する最古の多宝塔で
(建物自体は江戸時代の慶長年間に修理されているが)
下の層が方形で上の層が円形の、平面に宝形造の屋根をのせた変わった形の二重の塔である。

その形は密教の教えを表しており、一説には、万物の構成要素である地・水・火・風・空を、
方形・円形・三角形・半月形、宝珠形でで象徴しているという。
(塔の下層部が地を、上層部が水を、方形造の屋根が火を、四方に垂らす鎖が風を、相輪の宝珠が空を表現)

多宝塔はその起源が、密教の経典に描かれている宝塔の画像であり、
形が先にありそれを基に造らている。
木造建築で円形を造るのは難しく、構造上かなりの無理をしている建物である。
出典:玉井哲雄『日本の建築の歴史 寺院・神社と住宅』河出書房新社(2008)

そして最後は宝篋印塔
宝篋印陀羅尼という呪文を内部に収めた供養塔で、 鎌倉中期以降、各地に建てられたもので、
様式からして南北朝時代のものらしい。

死者を供養するためだけではなく、滅罪や延命といった現世利益、死後に供養する追善、生前にあらかじめ供養を済ませる逆修を目的として建てられたともされている。

宝篋印塔には周りに四国八十八カ所の砂が敷かれており、お砂踏みができるようになっている

ついでだが、多宝塔や宝篋印塔の近くには紫式部の供養塔があり、宝篋印塔の笠を三つ重ねた珍しい塔とされている。

石山寺は豪快な石と多宝塔と宝篋印塔と、これだけでも見どころがあるが、さらに境内の樹木や懸造りのお堂と、歩きながら参拝を楽しめる。
新緑の時期や紅葉の時期に歩くのをお勧めしたい。

さらに詳しい境内の様子は旅ブログの記事をどうぞ↓

【滋賀】石山寺 日本有数の観音霊場を参拝(電車日本一周補完の旅8日目②) | 綴る旅 (tsuzuritabi.com)

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参考文献

玉井哲雄『日本の建築の歴史 寺院・神社と住宅』河出書房新社(2008)

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