【旅エッセイ】最古の瓦の残る奈良の古寺 元興寺

奈良県

2022年の3月に奈良県にある、世界遺産に登録されている元興寺に足を運んだ。参拝の際に一目見たかったのが、我が国最古の瓦だった。

元興寺は飛鳥時代に蘇我馬子の氏寺として創建された飛鳥寺が、平城京遷都にともない奈良に移転し、元興寺となった。

その際に寺院建築が移築され、瓦も運ばれて、当時のものが現在も残り、使われている。

1,300年以上も前に作られた瓦が現在も現役でお堂に葺かれていることには、驚きを隠せない。

建築技術は時代が経つに従って発展するものだろう。古い時代よりも新しい時代の方がいいものを作るだろう。そう考えるのが自然だと思う。

しかし、『蘇る天平の夢 興福寺中金堂再建まで。25年の歩み』を読んでみると、瓦に関してはそうとは言えないことが書かれていて、興味深い。

本によると、奈良時代の瓦は平安時代のよりも良質だという。奈良時代に作られた瓦は焼く前に空気をしっかりと抜き、よく焼いた質のいいものが多い。

平安時代になると、神社で見られる檜皮葺やこけら葺などの自然素材で屋根を覆うことが流行り、瓦の生産が減ったため質が下がった。著者は、平安時代の瓦は質が悪く魂の抜けたようなものと書いている。

そして鎌倉時代に瓦は見事復活し、室町時代で一旦の完成をみせ、江戸時代になると現在の形に近い瓦が発明された。

江戸時代の瓦は簡略化が進み、元禄年間のは質が良かったが、以後ずるずると悪くなり、明治大正は焼きが足りなくなり、昭和になると機械が導入され戦争で中断し、戦後に大量生産されるも質が悪がったとのことだ。

平瓦に丸瓦を乗せる行基瓦という昔の瓦に関しては飛鳥・奈良時代と室町時代のものが、現在の形の瓦に関しては江戸の元禄期のものが、良質となる。それで飛鳥時代の瓦が現在も残っているのだ。

それにしても、飛鳥時代の瓦が現在も使われているのは、凄い。元興寺の瓦を見ていると、奈良時代に南都七大寺をリードするほどの往時の寺勢が思い起こされるような、そんな気もしないではない。

参考文献:『蘇る天平の夢 興福寺中金堂再建まで。25年の歩み 』

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