『日本史の謎は「地形」で解けるー環境・民族篇』竹村公太郎

総評
建設省でダムや河川事業に携わり、実際現地の最前線で働いてきた経験を持つ、いわば地形のプロが書いた本。日本の歴史や文化を地形から読み解いていて、資料を調べたり政治や経済から歴史を語った本とは違う楽しさを得られる本。シリーズ三部作の第三弾。

18の章から成っていて、扱うテーマは面白いものばかりだし、具体的に簡潔に書かれているのが読みやすくていい。

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読んだきっかけ
もともとシリーズ第一弾の『日本史の謎は「地形」で解ける』は読んだことがある。これに似た本がないかと、Amazonで調べていたら、続編があることを知った。目次を見てみると、なぜ家康は終の棲家を駿府にしたのか、という章に目が留まったため買って読んでみた。ちょうど「旅の拾いもの」の日本一周1日目に静岡県の駿府について何を書こうか考えていた時だったから、すぐに読んだ。

読んでよかった点
本を一言で表すと、「興味を広げてくれる本」になる。この本の特徴といえば、地形のプロが日本の歴史や文化を新しい視点で書いていることだろう。歴史家が書いたものとは違う視点で考えることができるから、あれこれ考えることができていい。そういう考え方があるのか、とかこういう反論はどうだろうか、と考えるきっかけをくれる。

地形を扱っている本だから自然に関する記述が多く、国土や風土について調べるきっかけにもなる。すると、それまで知らなかったことをどんどん知ることができるようになり、得をした気分になれる。本書は18からの章でできているため、各章の容量は限られている。その分、簡潔に一つの話が終わるから、読み終えてすぐに気になったことを調べることができるのだ。これが普通の本なら話が先に続いてしまい、調べるきっかけをなくしてしまうことが多いのだが、そうならないのもいい。

参考文献を紹介してくれているのも、いい。この本では、李御寧氏の『「縮み」志向の日本人』や勝海舟の「氷川清話」などを紹介しているが、この機会に読んでみようかと思える。自分で調べて参考文献を読んでと、知りたいという好奇心を刺激してくれるのがいい。

もう1つの自分が思うこの本の良さは、河川についての記述が分かりやすく、ためになる点だ。著者は実際に現場でダムや河川事業に携わってきただけあり、川というもの、水というものを知り尽くしている。水の特性が地形に及ぼす影響や、人間の生活に与える影響を嚙み砕いて解説してくれているので、参考になる。

なぜ家康は「街道筋の駿府」を終の棲家に選んだか、という章では、安倍川がもたらした駿府の地形について書かれており、なぜ「日本の稲作文明」は湿地帯を克服できたか、では平野というものが地理や歴史で学ぶような人々に恩恵をもたらすだけの存在でないことが書かれている。

また個人的に面白いと思ったのは、堤防について書かれている章だ。なぜ勝海舟は「治水と堤防」で明治政府に怒ったか、という章になるのだが、この章では、堤防の構造から考えると明治以降の堤防は江戸時代のものより優れていないと説明されている。堤防とは本来どういうものなのか、住民の命や汗水垂らして育てた耕作物を守るためにはどのような事態を想定して造るものなのか、そんな知ることができる。

川や水というものを知り尽くした著者の意見は、なるほどなと勉強になる。

本書にはこんなことも書かれているため、興味のある方には読むのがおすすめかと思う。今では米どころとして知られるある県では、胸まで浸かって田植えをしていた、江戸の町は臭かった、奈良の町は迷路のようだった、牛車は危険だった、旅人が盛んに往来した時期の江戸時代の東海道には追いはぎなどいなかった、などなど、興味を持ってしまうことが沢山書かれている。

今一つだった点
簡潔に書かれている分、主張が弱くならざるを得ない章もある。文章のスペース上、仕方のないことなのだが、反論を提示してそれに対する著者の意見を知りたいと思う箇所が少なくなかった。

当然、著者の考えが浅いというのではなく、このシリーズのファンとして、著者ならもっと他の要素も持ち出してそれについて語ってくれるのに、という期待が外れた感じがした。

ただそれも、「そういった結論に至るにはこの紙幅では足りないくらい他の要素が沢山あるのだろう。自分で調べてみよう」と思えば気にはならなくなる。先述の通り、自分にとってはこの本は興味を広げてくれる本であり、調べるきっかけをくれる本だから、その辺はあまり気にならないともいえる。

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