【小話】現代 神社と方角

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天子南面について調べていたら、これまで気にしたことがなかったが、神社やお寺は方角を意識して造られていることを知った。今回は神社について、ネットで調べてみて知ったことと幾つかまとめてみたいと思う。

古代の神社のご神体は山や滝、岩などの自然であったから一概にはいえないが、仏教が入ってきてからは神社の鳥居を南に置くことが多くなった。これは「天子南面す」という中国の思想によるもので、皇帝のいる玉座は北にあり南を向いているから、臣下の者は南の門から入り皇帝のいる北側を向くというものだ。

この思想が根底にあって平城京や平安京では北に天皇の住まいが造られたり、お寺に南大門があり南から入って北に祀られているご本尊を拝むようになっていたりする。同時に太陽とも深く関係していて、南を向いていた方が神である太陽を長く見ることができるから、そのような造りになっているともされている。電気のなかった時代は日の光が照明になるため、神楽や歌舞伎の舞台は南を向いていたともいわれている。

仏教では祀る本尊によって極楽浄土のある場所が違い、極楽のある方角を拝むように本殿が造られていたり、鳥居があったりするが、神社はまた違った理由による。東京府中にある大國魂神社は、当初、永承6年(1051年)に南向きであった社殿を源頼義が北向きに改めたとされている。朝廷の権力が届きにくい東北地方を神威によって治めるという意味があり、そのように変えられたのらしい。

東京青梅にある御嶽神社は、江戸時代に本殿を東向きに変えている。ここも従来南向きに本殿があったのだが、江戸幕府の統治下に入った時に幕府のある東を向くように変えられている。その時々の政治との兼ね合いで神社の本殿の向きが変わっているのは、興味深い。

東京青梅市の御嶽神社の本殿

神道に関する方角と関係のあることには、初詣の恵方もある。恵方巻で知られる恵方はその年によって違うが、初詣をする時は自分の住んでいる場所から恵方にある所を選ぶとよいというものだ。初詣はお寺に参拝することもあるから神道とは限らないし、風水的なものなのかもしれない。

また、神棚も方角にこだわらず部屋の静かな所や高い所にお祀りするのがいいとしつつも、神棚から見て南向きか、東向き、あるいは東南向きが最も良いとされているようだ。これは一日が始まる清々しい朝日やさんさんと降り注ぐ日中の太陽が十分に当たる場所がいいとされているからだ。

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